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UAゼンセン重点課題

労働・社会政策

安全衛生水準の向上

企業における持続可能性や人権デュー・デリジェンスへの高まりを踏まえ、ILO第155号条約「職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約」の批准をはかる。
企業の安全衛生管理体制を強化するため、10人以上の事業場で安全委員会や衛生委員会の設置義務づけや、企業単位で安全委員会等の設置あるいは産業医の選任を義務づける。安全委員会等の設置にあたっては、派遣労働者も派遣先企業の労働者としてカウントされ、委員として安全委員会等に参加できることの周知を強化する。また、50人以上の事業場に安全衛生管理活動計画の作成と労基署への届出を義務づける。さらに、危険有害な作業を行う事業所で働く全ての者の安全衛生管理体制を強化する。
労働者の安全と健康を確保するため、定期健康診断およびストレスチェックの対象となる常時使用する労働者の対象を週20時間以上の労働者に拡大する。
50人未満事業場におけるストレスチェックが義務化されることを念頭に、①労働者が安心してストレスチェックを受けられるよう安全衛生推進者等を活用し労働者の意見を聞く機会を確保する、②ストレスチェック制度の実施方法および実施状況を踏まえ、実施に当たっての改善内容等について調査審議を行うための体制整備をはかる、③集団分析については、その結果を踏まえた職場環境改善が高い効果を生むと期待されることから、労働者50人以上事業場も含め義務化を行う。また、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する者からの面談の申出を勧奨するとともに、申出をしない者、実施要件を満たしていなくても健康への配慮が必要な者に対する医師または保健士からの面接指導希望の有無を聴取するよう義務付けをはかる。
同様の観点から、時間外休日労働時間が月80時間を超えた者に対する面談の申出を勧奨するとともに、申出をしない者、実施要件を満たしていなくても健康への配慮が必要な者に対する企業からの面接指導希望の有無を聴取するよう義務付けをはかる。
定期健康診断は、性差を考慮した検査項目に見直す。また、高年齢労働者や外国人労働者、派遣労働者の増加を踏まえ、特に中小企業において実効性のある安全教育の徹底と地域産業保健センターとの連携強化による健康確保の取り組みを支援するとともに、安全衛生優良企業認定について、取得メリット強化を含め、取得促進をはかる。さらに、業務における心理的負荷に追加されたカスタマーハラスメントについて、労働者の労働衛生の観点からも、カスタマーハラスメントへの理解促進を含めた周知徹底をはかる。
老朽化が進んだ工場では、設備の故障や事故のリスク、さらには建物自体の耐久性低下により自然災害による損傷リスクが高まっている事を踏まえ、安全対策を目的とする設備投資や支出に対する支援や税制優遇措置を求める。
中小企業における労災事故を防止する実効性のある対策として安全装置(センサー、インターロック等)や機械や設備のデジタル化に対する助成制度を設けるなど、一人作業時における労災事故を未然に防止するための施策を強化する。加えて、高年齢労働者への身体機能低下に伴う設備や装置の導入等に対する助成金(エイジフレンドリー補助金)の補助対象事業場要件の拡大をはかる。また、労働安全衛生法の新たな化学物質規制を踏まえ、職場における化学物質等の管理、保護具の着用が適切に行われるよう、特に中小企業に対する周知や支援を強化する。

<背景説明>

2022年ILO総会で「安全で健康的な労働環境」(第155、187号)が中核的労働基準となったが、日本は第155号条約が未批准である。人権デユー・ディリジェンスへの社会的要請が高まるなか、人権を保護する国家の義務として、早急に同条約を批准すべきである。

職場における労働者の安全と健康を確保することは、法律で規定する最低限の労働基準である。労基法で就業規則作成義務の基準となる10人以上の事業場においては安全衛生管理体制を義務付ける必要がある。

店舗等で安全衛生活動が十分に行われない理由の一つには、50人未満の事業場に衛生委員会の設置義務がないことや企業全体に安全衛生管理体制に関する義務づけがないことによる。また、安全衛生管理活動計画は、厚生労働省や労働局が作成と提出を推奨しているが、義務ではない。労災防止強化の観点から、企業全体として安全衛生活動に積極的かつ計画的に取り組むよう義務づけることが必要である。

事業主は、危険有害な作業の請負人や同じ作業場で働く労働者以外の者に対し、労働者と同等の保護措置を講ずることが義務付けられており、また個人事業者等に対して取り組むべき災害防止対策等に関しても検討が行われている。危険有害な事業場で働く全ての労働者への安全衛生対策が十分に講じられるよう、安全衛生管理体制を強化する必要がある。

ストレスチェック制度の実効性を担保するためには、労働者の意見を聴取できる体制や、制度実施状況の検証と改善を継続的に行うための組織的枠組みが不可欠である。加えて、ストレスチェックの集団分析結果を基に職場環境の改善に取り組むことは、生産性向上や離職防止といった観点からも高い効果が期待されることから、50人以上の事業場においても集団分析の義務化を進めるべきである。

また、ストレスチェック結果により心理的負担が高いとされた労働者が面談を申出やすくするため、申出を勧奨するとともに、申出がない場合でも配慮が必要と判断される者については、医師や保健師からの面接指導希望の有無を企業側が確認する体制整備が求められる。

同様に、過重労働による健康被害防止の観点から、時間外・休日労働時間が月80時間を超えた労働者についても、面談申出の勧奨と、企業による面接指導希望の有無の確認を義務付けることで、早期対応と重篤化防止をはかる必要がある。

こうした取り組みを通じて、すべての労働者の心身の健康を守るとともに、誰もが安心して働き続けられる職場づくりを実現することが求められている。

女性版骨太の方針2023及び骨太の方針2023を受けて、事業主検診を充実すべく一般健康診断の検査項目等に関する検討会が開催されている。定期健康診断が性差を考慮した検査項目へと見直しがされるよう求めていく必要がある。

高齢化が進んだ職場では、後継者が不足し安全に対する知識や経験が引き継がれない状況が生まれている。また、外国人労働者や派遣労働者に対してこそ、適切かつ十分な安全教育がなされるべきである。特に中小企業に対する支援が必要であり、労働基準監督署などが安全教育促進施策を拡充していくことや、地域産業保健センターとの連携強化などによる健康確保が急務である。また、2023年9月現在、35社の取得にとどまっている安全衛生優良企業公表制度について、取得メリットの強化を含め、認定企業を増やす取り組みが求められる。

2023年9月、労災認定基準の改正により、業務による心理的負荷に「カスタマーハラスメント」が追加された。そもそも労働者がその被害により精神障害等を被らないよう社会全体の理解を深めることが重要であり、その周知を徹底する必要がある。

近年、老朽化した工場が抱える設備故障や事故、さらに自然災害による損傷リスクが課題になっている中、政府は老朽化した設備の更新・改修に対する補助金や助成金を提供し、企業が高い安全基準を満たす新しい設備への投資を促進する。 政府系金融機関を通じて低利融資を提供し、企業が必要な資金を容易に調達できるように支援し、老朽化した設備の更新や新技術の導入を推進する。

さらに、職場の人員確保に余裕がない中で一人作業を余儀なくされている状況を踏まえ、労災事故を未然に防ぐため施策を強化する必要がある。しかし、設備投資に対する助成金や補助金は数多くあるが安全装置単体への投資は対象外となっていることや、製造業では老朽化した設備を何とか使用し続けているところも多く、特に中小企業では安全装置への投資に資金を回せない状況がある。設備の安全装置(センサー、インターロックシステム等)あるいは労災防止や安全衛生水準の向上に資するデジタル投資に対する支援や助成金制度を創設することが求められる。

厚労省「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」報告を踏まえ、特に中小企業の職場における化学物質等の管理の適切化を強化する必要がある。